Monday, March 28, 2016

FT1D

FT1DをVX-8Gと比較してみました。
率直な印象は、VX-8GにC4FMがついた、というものですが、細かいところが改良されています。



率直な印象。FT1Dは、
VX-8GにC4FMがついた、というもの
(VX-8Gも50MHzなしの144/430で、GPSアンテナ内蔵なので、よく似ています)

更に、VX-5、VX-6、VX-7、VX-8、VX-8Gの八重洲人気シリーズの最新機種なので、
FT1Dは、細かいところがいろいろ改良されています。
(FT2D、ID-51のような現代的なGUIは無いですが、ボタン押し式インターフェースの無線機としては、かなりよくなってきました)



FT1Dの右側面は、上から、
・スピーカーマイク
・DC入力
・ミニUSB
・マイクロSDカード
です。

スピーカーマイクは、VX-8GやVX-3と同じ、3.5ファイの4極です。
これは、防水性能の高いVX-8のネジ込み式とは違います。FT1D,VX-8G,VX-3などは、防水は、単なるゴムキャップ式の簡易です。

DC入力は、VX-8、VX-8G、VX-3、FT-817など、八重洲のハンディ系はみな同じで、「極性統一DCプラグ#2」と呼ばれるものです。秋葉原のマルツで買えます。

その下のミニUSBは、
・PC接続でメモリ編集 (ケーブルは付属)
・ガーミンGPSなどから、GPS情報取り込み (ガーミンを外部GPSとして使える)
・ガーミンGPSへ、受信したAPRSオブジェクトのプロット
などいろいろ使えます。

マイクロSDカード(別途購入)を入れると、GPSログを記録したり、受信した画像の保存、メモリーのバックアップなどができます。



左側は、
・PTT
・MONI
・VOL
・電源
です。
VX-8Gと同じく、ボリュームは、VOLを押しながらロータリーエンコーダーを回すので、車載運用ではちょっと厳しい操作性?


全体としては、FT1Dは、VX-8Gに、C4FMがついて、Wires-Xコネクトボタンがついただけ、に見えます。
でも、細かいところは、いろいろ改良されています。

(1)セットモードのメニューが階層化された
 操作性が少しよくなったかもしれません。

(2)GPSの感度がたぶん良くなった
 VX-8GとID-31を比べると、圧倒的にVX-8GのGPSの感度が劣っていましたが、FT1Dになり、かなり気にならない程度になってきました。昨今のポータブルカーナビ程度の感度はありそうです。

(3)APRSの位置情報をambiguityを指定できるようになった。
 APRSのセットモードの13 BEACON INFOのAMBIGUITYという項目で、緯度経度の下1桁~4桁の切り捨てができるようになった。プライバシー保護には良いかもしれません。

(4)いつの間にか、八重洲お得意のARTS(Automatic Range Transponder System)という、ビーコンを出し合って、お互いの「圏外」「圏内」を判定する機能が削除されている。たぶん、C4FMのGM(Group Monitor)に移行せよ、という意味なのでしょう。

(5)かなり発熱が酷い様子。(VX-8Gもその傾向ありましたが、FT1Dは、C4FMがついて、かなり酷くなった様子) 基本は1W運用にして、車載運用時には、バッテリ外して冷却ファンなど必要かもしれません。

(6)パソコンに繋ぐケーブルが標準添付で、専用PCソフトも八重洲のホームページから無料ダウンロード。メモリ編集がパソコンでできるのは猛烈に便利です。

(7)説明書は通常操作のみで、APRSやC4FMの説明書は、印刷物はなく、PDFを八重洲のホームページからダウンロード。まあ、これでもいいかもしれませんが、紙がほしい人もいるかも。


(下記は1エリアでの感想です)

肝心のC4FMですが、ロールコールなどの開催もあり、433.40MHzをワッチしていると土日はシンプレックス運用がワッチできます。

D-starのほうは、433.30MHz付近を使う習慣のようです。D-starのシンプレックス通信が増えてきています。従って、シンプレックスでのデジタル通信では、C4FMもD-starも互角。

デジタルの音質については、D-starは、初期のデジタル携帯電話程度(モービルでの使用はケロケロ)、C4FMは351MHzデジタル簡易無線と同じ(=D-starよりは、移動体でのケロリ少ないので良好)です。デジタル性能は、C4FMの勝ちです。

VoIP・レピーター経由については、D-starは、ICOMがJARLと組んで439/434MHzのレピーターが増えていますが、八重洲はC4FMレピーターは日本では展開しておらず、個人の設置したノード経由でのVoIPになります。

C4FM対応のノード局(HRI-200)は、D-starと比べると、まだまだ広域ノードが少ないです。基本的に個人が設置したものなので、運営も不安定です。
たまたま、近場にオープンな使用を認めているノードがあればいいですが、アクセスできる範囲に無い場合もあります。また、どこにノードがあるのか、わかりにくいです。

一応、Wires-Xのノードのリストはあります。
お世辞にも見やすいとは言えません。
google mapなどから見ることはできず、どこにあるのかわかりにくいです。

(ICOMのほうは、DR(D-star Repeater)モードがあり、ID-5100やID-51は、自局のGPS情報をもとに最寄りのD-starレピーターを自動検索してくれます。このような機能が、Wiresには無い)

Wires-Xのメリットしては、WindowsパソコンとHRI-200+FTM-100/400があれば、自分でノードを建てられることです。D-starは、レピーターなので、管理団体を立てて設備一式をJARLに無償貸与して、JARLが免許人になる、という、アナログレピーターと同じ奇怪な方式です。

ちなみに、C4FMのレピーターDR1はアメリカでは500ドルで販売されていて、けっこう普及し始めているようです。日本は政治的理由により、C4FMのレピーターがありません。困ったものです。


実際の運用面で、D-starとWires-Xを比較すると、、、、

ワッチした限りでは、率直に言って、D-starのほうが、お仕事モービルの方が多い印象です。
D-starも初期のころは、レピーターでアマチュアがCQを出していましたが、最近のD-starレピーターは、コール指定でお仲間さん、おなじみさんを呼び出すような使い方が増えている印象です。(アナログレピーターと似た雰囲気)

一方、Wires-Xは、一番人数の多いALL JA CQ ROOM(20510)は、アマチュアが活発にCQを出しており、まさに「CQを出せる広域レピーター」という印象です。海外の方も、CQを出されており、かなり国際的です。


現在のところは、システムとしては、D-starのほうが完成度高いですが、WiresーXのほうが、アマチュアのCQは出しやすい印象です。

また、自分でノードを建てたい場合は、Wires-Xのほうが良いです。HRI-200を買って、1200/9600bpsのTNC接続ポートのある無線機(FT-817/857/897、FT-7900、FTM-100/400など、またICOMのものでもOK)に繋げば、簡単にノードを建てられます。

D-starも、DVAPで個人でノードを建てることは可能です。DVAPをTSS保証認定で免許を受けた例などあるようですが、まだ手続きが大変です。また、DVAPだとリフレクタ経由で日本のD-starレピーターに接続できないという問題があります。海外はできるのに、日本はJARL、ICOM、当局などの政治的理由で、リフレクタ経由のレピーターが不可のようです。

ということで、現状は、D-starとC4FMは、原産国の日本では、なぜか変な状態になっています。D-starもC4FMも、海外のほうが、自由な運用が許されている印象です。


また、APRSという観点で比較すると、、、、、、

APRSができるのは、現状はkenwoodと八重洲だけです。ICOMはなぜか、APRSを完全に捨てています。(D-starのGPS情報をAPRS網に流すゲートウェイがありますので、ICOMのD-star無線機で、APRSに位置情報を流すことは可能です。438.01MHzでそういったゲートウェイを立てている人がいます。D-PRS Interfaceというソフトでゲートウェイを作るのは簡単です。)

位置情報を継続送信して、aprs.fiにプロットしたい場合は、APRSに対応している八重洲の方が良いです。

尚、APRSについて八重洲とkenwoodを比べると、kenwoodのほうがAPRSは機能は断然に良いです。
例えば、FT1Dは、単体でAPRSのデジピーターになる機能は無いです。APRSの機能でいうと、kenwoodのTH-D72が、最強です。


結論として、Wires-Xで遊びながら、APRSもやりたい人は、FT1D, FT2D & FTM-100/400 + HRI-200のマイノードが良いです。
インフラ系運用(I-Gate, Wires-Xノード)などに全く興味なく、単なるユーザーとして、広域をモービルで移動するような人は、D-starのほうが使いやすいです。ID-5100 & ID-51が良いです。










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